この本の概要
1.世界の先進国の教育は、社会にでてからも役立つ「有意味で価値のある課題を設定し、解決する力の伸張」を求めている。
2.日本は2020年改訂予定の学習指導要領に、アクティブ・ラーニングを通じて、この力の育成が盛り込まれる予定である。
3.学習には、日本も含め東洋の教育で優勢な「学び」と西欧先進国で求められる「創り」がある。
4.上記の課題の設定・解決力は、学びの枠組みのみでは伸長が困難で、創りの授業を増やすことで実現可能となる。
5.全ての教科・活動・総合的学習において、創りを伸ばす授業をデザインできる。
6.創りを伸ばすには、創りや個性を伸ばすほめ言葉が肝要である。
7.創りの経験を重ねることで、子どもは創造性を伸長することが期待される。
8.創りでは、個性を認め、人と異なった意見を尊重し、議論・討論を奨励し、思考過程を大切にし、試行錯誤を通してその人の学習が進展する。
9.日本の学校を覆っている、教科書内容のスピーディな理解・記憶とその再生で善しとする「学び」とは、一線を画している。
10.創りを志向した授業では、「あなたの意見は?」、「あなたらしい表現は?」、「もっといいアイデアがないかな?」、「どうすれば地域に貢献できるのかな?」といった教師の質問が、たびたび出る。
11.創りを志向した授業では、創りを促す発問「: 創り発問」を工夫する必要がある。
12.個性や創造性を伸ばすには、以下の配慮が有効である。
①まず、第一に、子どもの「自尊感情」を高めることです。世界の子どもと比べると、日本の子どもの「自尊感情・自己信頼」は低く、「孤独感」が異常に高いことが知られています。子どもを認め、ほめることで自尊感情を高める工夫が大切です。
②二番目に、日本の教育で常に志向される「学び」を土台として、「創り」の教育機会を増やすことです。学びの姿勢は謙虚であって日本の学校や社会では歓迎されますが、よく吟味してみると、新たな学問・科学技術・各種表現を創り出す訓練を十分に含んでいないし、さらに獲得した知識やスキルに対する責任を放棄しています。それゆえ、学びのみに専念すると、子どもたちが変化の激しい社会に出た時に、困難な物事に立ち向かう資質を欠いてしまいます。
③三番目に、子どもの教育にかかわる大人が、創りが何を意味するかを明確にとらえ、それらが伸びるように配慮する必要があります。「ほめる」「ただす」は、配慮を有効にする貴重な方策の一つです。
13.創造的な所産・産物は、一人ひとりの子どもの考えや表現や活動を大切にし、その子に合った適切な指導を長期にわたって継続すると、出現する。
14.この本は、小学校の全ての授業を視野に入れて、小学生が現在使っている教科書内容を引き合いに出しつつ、それらの内容の理解の上に立って、いかにして「創り」の機会を増やし、最終的に、児童の問題設定・解決力や創造性を伸ばすかを企図してつくられた。
15.著者らの提案する「創りの教育」が成功して、おごることなく自信をもって、国内はもとより世界の中で活躍できる日本人が多く出現することを希求する。
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