日本とモンゴルの歴史上のかかわりをみますと、残念ながら、鎌倉時代の元寇(げんこう)と昭和前期のノモンハン事件の二つしか挙げることができません。
どちらも不幸な出会いでありましたが、現在では大相撲で多くのモンゴル出身力士が活躍し、経済や文化などさまざまな方面で交流を深めるなど、良好な関係を築きつつあります。両国の間には週に何便もの旅客機が往復し、片道約五時間で結ばれるという、時間的にも“近い”国になっています。
そもそも日本人とモンゴル人は、同じ蒙古斑を持つ仲間でもあります。かたや島国で農耕を営み、かたや大陸国で遊牧を糧(かて)としてきたという違いはありますが、伝統を尊びながらも新たな文物を積極的に自分のものにしようとする気性には相通ずるものがあります。こうした共通点を持つ両国民は、今後、さまざまな形で関係を深めていくであろうことは想像に難くありません。
縁を得て、このたびモンゴル国外務省にお勤めのオクチャブル・ツェレンジャルガルさんが訳された『ジョークで知るモンゴル』のお手伝いをすることになりました。モンゴル人も日本人も、ともに笑いを愛する国民です。このジョーク集を読むと、モンゴルのジョークには、日本人にも違和感なく受けいれられ、笑えるものがたくさんあるように見受けられます。
また一方でこれらのジョークは、モンゴル社会のありようと国民性を“笑い”というエッセンスを通じて表現したものでもあります。われわれ日本人は、ツェレンジャルガルさんのこの素晴らしい仕事のおかげで、モンゴルの方々の暮らしの一端に触れる貴重な機会を得られることになりました。
大仕事を成し遂げたツェレンジャルガルさんの熱意と努力を称えるとともに、この『ジョークで知るモンゴル』が日本とモンゴル両国が相互に理解し、友好を深め、強い絆で結ばれていくための一助となることを心より期待しています。
著者プロフィール:
戸田 等(とだ ひとし)
1932年4月29日生まれ。
1969年4月7日 弁護士登録 番号11384
海事補佐人兼務、海難審判・海洋船舶事件、建築関係事件を扱う。
世界蒙古斑協会日本支部代表
著書:
2015年「ジョークで知るモンゴル」(新潮社)補訳出版
2016年「弁護士物語」(新潮社)
2016年「HIROSHIMA COURT」(22世紀アート)電子書籍出版
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