このたび、埼玉伝統工芸会館のご厚意により、画業 50 年特別企画展「菊地秀夫絵画展」を開催する運びとなりました。思えば、決して平坦な道のりではありませんでしたが、ふと顧みますと、色々な思いが湧き起こってきて、とても感慨深いものがございます。この機に際しまして、この思いを何かの形で残したいという気持ちから、画業 50 周年の記念にと、画集を出版することとなりました。
緑豊かな埼玉県小川町に生まれ育ち、15 歳で水彩画を描いたのが始まりでした。その後、油絵を描くようになってから、日本画家、加藤秋荘先生に師事し、自然をよく見て描くということの大切さを学びました。先生は「絵は教えることが出来ない。線路から外れたら線路に戻す。前に進むのは自分自身なんだよ。」と話され、目が覚めたような思いをしたものでした。実は油絵を描き続けるうちに、日本画を描いてみたいという気持ちがふつふつと湧き起こってまいりましたので、そのことを先生に伝えると、快く承諾してくださいました。42 歳の夏のことでした。
その後、日本画家、三尾彰藍先生に師事し、自然をそのまま描くのではなく、精神性を持って表現することの大切さを学びました。加藤先生、三尾先生ともに、真の芸術を追い求めることの大切さを教えていただきました。その答えは、追い求め描き続けることによりみえてくるかも知れない。一生かかっても掴めないかも知れない。だからこれからも描き続けるのです。
本書は、日本画の作品集ということで企画されたものです。岩絵具からくる何とも言えない魅力に心動かされ、描き続けてきたその道のりを見ていただけたならば幸いです。
最後になりましたが、お忙しい中、この企画を承諾していただいた埼玉伝統工芸会館館長、柴生田元子様をはじめ、埼玉伝統工芸会館の方々、関係者各位のご協力、ありがたく御礼申し上げます。
著者プロフィール
菊地 秀夫
1948 年(昭23) 埼玉県比企郡小川町に生まれる
1965 年(昭40) 日本画家 加藤秋荘氏に油絵を師事
1969 年(昭44) 第19回県展初入選(以後33回入選), 第8回県西展 飯能美協賞『杜』
1971 年(昭46) 第10回県西展 褒賞『山』
1972 年(昭47) 第11回県西展 委員長賞『湖畔』
1973 年(昭48) 第12回県西展 越生美協賞『武蔵野』
1974 年(昭49) 第13回県西展より委員(以後第25回展まで), 第12回比企美協展 会員努力賞『川原』
1976 年(昭51) 杉の子油絵教室指導(以後1982年まで)
1977 年(昭52) サロン・デ・ボザール展初出品で奨励賞『黄昏の富士』
1978 年(昭53) 第1回 杉玄会絵画展(以後16回展まで)、『林間』『茜空』『暮れる』『陽』
1979 年(昭54) 第18回県西展より審査員(以後25回展まで)
1981 年(昭56) 第20回記念県西展にて感謝状
1982 年(昭57) 第20回記念比企美協展にて感謝状
1984 年(昭59) 比企美術家協会事務局長、県西展選抜小品展『川畔』『杉林』
1992 年(平4) 日本画に転向
1996 年(平8) 日本画家 三尾彰藍氏に師事
2000 年(平12) 第50回記念県展 埼玉県知事賞『樹間』
2001 年(平13) 第51回県展 埼玉新聞社賞『夜の華』、小川町所蔵絵画展(小川町民会館開館20 周年記念)、『早春』『杉の林』
2006 年(平18) 日本画家加藤秋荘回顧展 実行委員
2007 年(平19) 菊地秀夫日本画展(ギャラリー亜露麻)
2008 年(平20) 第58回県展 埼玉県教育委員会賞『丘』、県展 委嘱作家に選出される
2009 年(平21) 第59回県展『海』
2010 年(平22) 第60回県展『朝光』、菊地秀夫日本画展(埼玉伝統工芸会館特別企画展)
2011 年(平23) 第61回県展『霊峰富士』
2012 年(平24) 第62回県展『映』
2013 年(平25) 第63回県展『光る海』
2014 年(平26) 日本の美術 全国選抜作家展 K 氏賞『朝光』(上野の森美術館)、日本の美術 受賞作家展(銀座アートスペース ジャンセン美術館)、第1回美の視点『樹間』(東京藝術劇場)、第64回県展『妙義』、画業50周年記念 菊地秀夫絵画展(埼玉伝統工芸会館特別企画展)、第21回雪舟国際美術協会展(国立新美術館)、無鑑査会員作家に推挙される
2015 年(平27) オルセー世界芸術遺産作家認定、第22回雪舟国際美術協会展 特選『丘』(国立新美術館)
2016 年(平28) イタリア最高芸術勲章授章、日光東照宮に『玉子』を奉納、菊地秀夫・道夫親子展 —絵と詩— (ギャラリー亜露麻)
収蔵作品
『玉子』 F6 日光東照宮
『落葉』 F60 埼玉伝統工芸会館
『早春』 F6 小川町役場
『杉の林』 F8 小川町立小川小学校
現在
雪舟国際美術協会無鑑査会員
埼玉県美術家協会会員
県展委嘱
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