これまで、中国と日本の自然(生物相)の相関(共通性と相違性)について触れた刊行物は皆無だと思います(それどころか、まともに中国の生物を対象とした本さえほとんどありません)。
日中の関係が抜き差し成らぬ状況になりつつある今こそ、日中関係の“基盤”(地史的位置づけと自然環境の実態)を考察することが不可欠なのではないでしょうか? そのような思いで本書を作りました。
日本と中国の生物相の相関性にスポットを当て、植物と昆虫(蝉、蝶)の幾つかの分類群を対象に、さまざまな地域(東シナ海沿岸地方から長江流域を経て四川雲南へ)を舞台に、様々なテーマに沿って切り取っていきます。
原則として対象は野生生物ですが、主に人間の生活とかかわり深いものを選び、「“麦菜”」「レンゲソウ」「野生アジサイ」「白い苺」「ギフチョウ(天然の雑木林)」などは、人類の生活(の歴史)と、野生種(や環境)との関わりについて考察していきます。セミやチョウ各種は、出来る限り身近な種について紹介して行きます。全 8 章の各テーマは、それぞれが独立し、かつ互いに関連性を持たされるよう構成しました。 生物地理学的観点から、「日本と中国の繋がり」を、易しく、かつ興味深さが伝わるような構成で組み立てて行くことが出来れば、と考えています。
【上巻】
第 1 章:華東/亜熱帯の菜の花畑を飛ぶ高山蝶-ヒイロツマキチョウ-
第 2 章:秦嶺/天然の雑木林・動き続ける極相-オナガギフチョウ-
第 3 章:長江/ゲンゲとヒガンバナの故郷-蓮華草・彼岸花・沈丁花、、、真の野生はどこに?-
第 4 章:南嶺/幻の“ヤナギバハナアジサイ”探索記-中国に於けるアジサイ原種の仲間-
第 5 章:華南/東洋のレタス“麦菜”の謎-野菜になった雑草・アキノノゲシ-
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