語族の異なる言語を比較対照する学問を対照言語学と呼ぶ。構造主義言語学が盛んだったころには、結構もてはやされた。対照研究が日本人学習者の英語における誤りを予測することができなかったとしても、日英語の対照研究は英語学習者だけでなく英語教師にとっても有益な領域だと私は確信している。しかし、1970年代において対照言語学は批判の対象となった。その後、普遍的な言語観が脚光を浴びるようになり、その息を吹き返した感がある。日英語の対照研究を通して、日本語と英語の相違点だけでなく、両言語に共通する言語の本質を把握することができるからである。
しかしながら、この言語学においては、たとえば日英語の何と何を比較対照すればよいかさえ理論的に明らかにされていない。比較的単純な語彙の分野においてさえ、そうである。内容語であればほとんど問題ないが、機能語となると問題が複雑になることはすぐにわかる。本書では日本語と英語を取り上げ、両言語の対照研究の理論面を中心に扱った。日英語は形式的面と機能的面において両極に立つもので、その対照点はきわめて特異で興味深いものである。本書で示した考えは、かなり実験的で仮説的なものにすぎない。また、本書は理論編と実践編に分かれるが、残念ながら、実践編が前に述べている理論編の実践的応用となっているとはいいがたい。
目 次
序章
理論編
1.日英語対照研究の理論的枠組み
2.英語の言語類型及び情報構造における特徴-日英対照言語学の枠組みを求めて-
実践編
3.川端康成の作品にみられる人称詞
付録 日英語対照研究のための参考文献
≪総論≫
≪文法≫
≪語彙・意味≫
≪発音・文字・綴り≫
≪表現・文体・翻訳≫
≪文化・社会論≫
≪英語文献≫
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